先日、X(旧Twitter)上で、
FX自動売買界隈において、特定商取引法(以下、特商法)に基づく表記についてが話題となっていました。(自分の周りだけの話かもですが)
FX自動売買システム(EA)やEA作成代行といったサービスの販売において、それを表記していない人たちがいる!問題だ!って話です。
そこで、自分としても、今回の話題を機に、
ちゃんと理解しておきたいと思い調べたので記事にまとめてみました。
見解については、あくまで個人的な見解となり、ただの素人の意見です。
法律のプロでもなんでもありませんので、ご理解の上、お読みくださいm(__)m
※なお、消費者庁が特定商取引法の管轄となるので、
消費者庁が発表しているものを基本的には参考としてます。
では、早速。
まず、前提として、今回の件は、特商法上の通信販売にあたります。
特商法と通信販売の定義については以下の通り。
特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。
具体的には、訪問販売や通信販売等の消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルール等を定めています。
「通信販売とは」
事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける取引のこと。※「電話勧誘販売」に該当するものを除きます。
参考:消費者庁 特定取引法ガイドより
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/
そして、特商法に基づく表記って何が必要なのかってことなのですが、
◆特定商取引に関する法律 第11条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=351AC0000000057
◆特定商取引に関する法律施行規則 第23条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=351M50000400089
に、その内容が記載されております。
列挙すると、以下の通りですね。
特商法に基づく表記
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
- 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合はその内容を含む。)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であって、国内に事務所等を有する場合には、その所在場所及び電話番号
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額
- 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件又は提供条件
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときは、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
消費者庁 特定取引法ガイドより
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/
要するに、事業者の氏名(名称)、住所、電話番号を含めた事業内容等を記載して、
消費者が不利な状況とならずに安心して取引できるようにしときなさいね
って話のようです。
そして、上記の内容の記載は必須です。
ちなみに違反した場合、違反内容によりますが、罰則や行政処分の可能性があります。
懲役や罰金
- 違反した対象が個人の場合には、最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方
- 対象が法人の場合には、最大で3億円以下の罰金が科せられる可能性がある
業務改善の指示 - 業務内容を改善するような指示が行われることがある
- 業務停止命令
- 最長2年間、業務を禁じられる
- 業務禁止命令
- 業務停止期間中に同業の会社の立ち上げが禁じられる
特商法に基づく表記について、簡単な概要は上記の通りとなりますが、
さて、ここからが問題。
このご時世、法人ならいざ知らず、個人事業で行う場合、
事業内容等は良いですが、インターネット上に、
個人情報となる氏名、住所、電話番号を公開するってなかなか出来ませんよね。
というわけで、
特定商取引法に基づく表記の内、
個人情報を開示させない方法を検討してみます。
バーチャルオフィスをレンタル
まず1つめとしてあげられるのが、
バーチャルオフィスをレンタルして、住所と電話番号を個人のものを使用しない方法です。
消費者庁 特定取引法ガイドにも、バーチャルオフィスは問題ない旨が記載されてます。
https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/advertising.html
バーチャルオフィス側が事業者の住所と電話番号を把握していて、
確実に連絡とれるのであれば、特定商取引法に基づく表記として満たすとのことで、
消費者から連絡が取れないなどの事態が発生しなければ、問題ないようです!
業として営む者にならない
では、もう一度、特定商取引に関する法律 第11条(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=351AC0000000057)に戻ります。
第11条には、このように記載されてます。
つまり、販売業者又は役務提供事業者でなければ、そもそも標記は不要ってことです。
となると、
ここで、大事なのが、どのような場合が販売業者又は役務提供事業者に該当するのか?ってことです。
消費者庁にはこのように説明されてます。
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/
なにかを販売する場合、「営利の意思を持って」にはほぼ該当しますね。
(今回の件も、間違いなく営利の意思があると言えそうです)
では「反復継続して取引」という部分はどうか?
これについては、
消費者庁のインターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドラインが参考となります。
https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20120401ra01.pdf
この中に以下のような記載があります。
- 過去1ヶ月に200点以上又は一時点において100点以上の商品を新規出品している場合但し、トレーディングカード、フィギュア、中古音楽CD、アイドル写真等、趣味の収集物を処分・交換する目的で出品する場合は、この限りではない。
- 落札額の合計が過去1ヶ月に100万円以上である場合但し、自動車、絵画、骨董品、ピアノ等の高額商品であって1点で100万円を超えるものについては、同時に出品している他の物品の種類や数等の出品態様等を併せて総合的に判断される。
- 落札額の合計が過去1年間に1,000万円以上である場合
これを参考とすると、
定期的に一定量かつ一定金額の取引が発生するようであれば、「反復継続して取引」であり、
一時的な取引や少額取引は、「反復継続して取引」ではない=特商法に基づく表記は不要と言えそうです。
しかし、
上記ガイドラインには「個別事案ごとに客観的に判断されることに留意する必要がある」
とも記載されてますので、安心できないところではあります・・・。
請求により遅滞なく表示する旨を記載
さて、また特定商取引に関する法律 第11条(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=351AC0000000057)に戻ります。
第11条には、但し書きで、このようにも記載されてます。
つまり、「請求されたら開示します」と明記すれば、特定商取引法に基づく表記の一部は省略できるようで、
販売側が一番気になる氏名、住所、電話番号については省略可能に含まれております。
消費者庁 特定取引法ガイドより
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/
ただ、ここに「広告の態様は千差万別であり、広告スペース等も様々です。」と記載されている通り、
この省略については、あくまで広告スペースの問題が争点となるのか気になるところではあります・・・💦
プラットフォームを使う
最後に、定商取引法に基づく表記の一部省略方法として、
プラットフォームを使うということが挙げられます。
2021年に消費者庁が以下の見解を示したようです。
クリエイターエコノミー協会より発表
なお、記載されている一定の条件とは以下の通り
- 商取引の活動が当該プラットフォーマーが主宰するプラットフォーム上で行われる
- 個人事業者とプラットフォーマーとの間で「プラットフォーマーが個人事業者のプラットフォーム上の商取引における連絡先」の機能を果たすことについて、合意している
- プラットフォーマーが個人事業者の現住所及び本人名義の電話番号を把握している
ですので、
・メルカリ
・BASE
・ココナラ
・ランサーズ
といったプラットフォームを通せば、名前以外の個人情報を開示せずに活動できそうです。
ちなみに、noteって、本人確認なかった気がするので、
noteはダメそうな気がします・・・💦
(note㈱もこの教会に所属しているんですけどねぇ)
結論
今回の記事のきっかけとなった
「FX自動売買システム(EA)やEA作成代行といったサービスの販売について、個人情報を出さずに特定商取引法に基づく表記すること」
を考えた場合、
手数料はかかるもののプラットフォームを利用するというのが一番素直で手っ取り早い気がしました。
ちなみに、FX自動売買システム(EA)等の販売って、なかなか危ない領域で、
完全売り切りであればソフトウェア販売で問題ない
との見解が主ですが、
会員月額制で販売したり、サポートやバージョンアップ含めの販売となると、
金融商品取引業者 (投資助言代理業)に該当し登録が必要、
という見解が主のようです。
(登録なく販売を行ったら 金融商品取引法違反となり、捕まるYO!!)
ですので、ゴゴジャングルのような金融商品取引業者 (投資助言代理業)登録済みのプラットフォームを使うのも、
今回のケースで言えば、安心できそうではありますね。
手数料40%は高すぎると思いますけどー!!
以上で、終わりとなります。
※自分もnote販売しちゃったりしてるので、今回の件を活かして、いろいろ検討してみます。
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